FC2ブログ

お知らせ

Claude Monet
Water Lilies, Claude Monet, The Metropolitan Museum of Art

しばらくの間、このブログの更新をお休みさせて頂きます。この間、楽しみにしていた皆様のブログ訪問もできなくなります。ご了解のほど宜しくお願い致します。

猛暑とコロナウィルスの感染拡大が続いています。皆様、お体ご自愛下さい。

仮想粒子

テーマ : 文明・文化&思想
ジャンル : 学問・文化・芸術

驚くべき

Boy_Trying_to_Make_an_Ox_Drink_convert_20200518125908.jpg
Boy Trying to Make an Ox Drink, Attributed to Sakai Hōitsu, The Metropolitan Museum of Art

動物は、食べたいときに食べ、飲みたいときに飲み、命をつなぎたいときにつなぐようにできている。機械にはまだそのようなことはできない。しかし、自ら増殖する万能構築機があったとして、そのマシンが必ず持つべきものは、子の万能構築機を作るためのソフトウェア的な具体的指示であり、また同時に、子の中にコピーされるべき物理的データとしての孫の万能構築機を作るための具体的指示書でもある、とされる。

アリゾナ州立大学教授ポール・デイヴィス著「生物の中の悪魔」(SB Creative)によれば、フォン・ノイマンが強調した重要なポイントは、自分自身の複製を作るだけでは万能構築機たるには十分ではないということだ。それに加えて、万能構築機の作り方を記した「指示書}も複製し、作ったばかりのレプリカにその指示書を入れなければならない。そうでないと、その万能構築機の子は増殖することができない。[イメージとしては次のようになる。]万能構築機は、何らかの物体の作り方を記したパンチテープを受け取り、そのテープ上に書き込まれた指示を忠実に実行する。穴が開けられたテープの中には、万能構築機そのものを組み立てるための指示書を収めたようなパターンで穴が開けられているものあるだろう。そのテープをマシンに通すと、万能構築機はもう一つの万能構築機を作る。しかし、それだけでは不十分だ。母万能構築機は今度は、その「指示テープ」のコピーを作らなければならない。そのためには、そのテープを指示書としてではなく、単にコピーすべきもう一つの物理的物体として扱わなければならない。フォン・ノイマンが見抜いたのは、テープ上の情報を二通りの形で扱わなければならないということだ。一つ目は、万能構築機が何かを作るための能動的な「指示書」として。二つ目は、テープを複製するときに単にコピーされる受動的な「データ」としてだ。DNAは状況に応じて、指示書でもあるし物理的物体でもある。タンパク質が必要になったときには、タンパク質を作るための指示がDNAから読み取られ、リボソームによってそのタンパク質が作られる。このモードでは、DNAはソフトウェアとして振舞う。しかし、細胞を複製して分割するときになると、特別な酵素がやってきてDNAをコピーし、分裂後にそれぞれの細胞にコピーが一つずつ与えられるようにする、という。

ここで言っていることは、DNAの役割には二重性があるということだ。一つはソフトウェアとしての指示書の役割で、例えば細胞がさまざまなタンパク質を作るときに、DNAの全体ではなく一部を構成するそれぞれの遺伝子が読み取られて、リボソームによってそれぞれのタンパク質が作られる。もう一つは物理的物体としての役割で、例えば細胞が複製されるときに、DNAの一部ではなく全体がコピーされて、分裂後の細胞にコピーが一つずつ与えられる。DNAレベルでの二重性はミクロの世界における奇跡的な現象の一つとして驚きや感心を引き起こす。一方、一人のヒトのレベルでの二重性はもっと一般的だが負のイメージにつながる場合が少なくない。二重人格、二重スパイ、二重帳簿等だ。だが、通常一人のヒトとしての役割は二重性どころではない。私たちは皆同時に、祖父(母)、夫(妻)、父(母)、息子(娘)、社会人等々の役割を負って生きている。社会人としての役割自体もさらに何重にもなっている場合がある。あるいは、私たちは命をつないでいく生命体としての役割と同時に経済や文化の担い手としての役割も負っている。普段意識することもないが、こんなに複雑な役割を一人一人が大過なく果たしているというのは、本当は驚くべきことなのではなかろうか。

テーマ : 文明・文化&思想
ジャンル : 学問・文化・芸術

わずかなエネルギー

Bermuda_Bound_convert_20200518125810.jpg
Bermuda Bound, Gladys Kleinman, The Metropolitan Museum of Art

仕事の合間には休暇が必要だ。コンピュータ上に作りだした一時的な情報は消去が必要だ。室温で1ビットの情報を消去すると3X(10のマイナス21乗)ジュールの熱が発生する。ここには情報と物理との深い結びつきがある。細胞の中のタンパク質分子や水分子は、室温では約3X(10のマイナス21乗)ジュールのエネルギーを持っている。分子をほどいたり壊したりするのに必要なエネルギーもほぼ同じ大きさだ、とされる。

アリゾナ州立大学教授ポール・デイヴィス著「生物の中の悪魔」(SB Creative)によれば、コンピュータはデータを入力として受け取って、それを処理し、答えを出力する。そして保存してあった情報を不可逆的に消去する(たいていはメモリーを解放しなければならないときに限る)。ロルフ・ランダウアーは、1ビットの情報を消去するのに必要なエントロピーの最小量を算出し、その値はランダウア―の限界と呼ばれている。ちなみに、室温で1ビットの情報を消去すると3X(10のマイナス21乗)ジュールの熱が発生し、これは、やかんの水を沸騰させるのに必要な熱エネルギーのおよそ100兆分の1のそのまた1兆分の1に相当する。ランダウア―は、論理演算と熱の発生との関係性を明らかにすることで、物理と情報との深い結びつきを発見した。一方、哺乳類の典型的な細胞には最大で100億個のタンパク質が含まれていて、その一個一個のナノマシンが、細胞の大部分を構成する高速の水分子の衝突によってたえず揺さぶられている。タンパク質などの大きな分子は水分子よりも遅く運動するが、その分水分子よりもはるかに重いため、おおよそ同じ量のエネルギーを持っている。室温ではその値は約3X(10のマイナス21乗)ジュールとなる。重要な分子の構造を変形させるのに必要なエネルギーや、分子をほどいたり壊したりするのに必要なエネルギーも、これとおおよそ同じだ、という。

1ジュールは、大きさ1ニュートンの力が物体を力の方向へ1メートル動かすときになされる仕事、またはその仕事に相当するエネルギー、熱量のことだ、とされる。室温で、1ビットの情報を消去すると発生する熱のエネルギー量、細胞中のタンパク質分子や水分子が保有するエネルギー量、分子をほどいたり壊したりするのに必要なエネルギー量は、皆、約3X(10のマイナス21乗)ジュールで同じだ。さまざまなミクロの世界において、情報や物質を存在させたり変化させたりするのに必要な最小単位のエネルギー量がほぼ同じような大きさのものだということになる。機が熟せば、国家間の関係も、最小単位のエネルギーで変化することがある。UAEがアラブ諸国の中で第三番目にイスラエルと国交を結ぶことになったという発表があった。1948年のイスラエル建国以来、アラブ諸国はパレスチナ問題でイスラエルと激しく対立してきた。しかし、近年UAEとイスラエルはともにイランを敵とみなす点で一致するようになり、国交を正常化すれば、イスラエルは対アラブ諸国との緊張緩和を部分的にでも実現することになり、UAEはイスラエルとの経済関係を拡大し先端技術も導入できることになる。もともとこういう事情があるから、米国が仲介したとしても、わずかなエネルギーで二国間の国交正常化が実現することになったのだろう。

テーマ : 文明・文化&思想
ジャンル : 学問・文化・芸術

意味

American_Falls,_Niagara_convert_20200518125710
American Falls, Niagara, Jasper Francis Cropsey, The Metropolitan Museum of Art

ナイアガラの滝のそばに立つと、自分が立っている地面さえも流されてしまうのではないかと思えるほどに、流れる水量は圧倒的だ。生命の中を流れる情報量も圧倒的だ。あなたの身体の中にある一個一個の細胞には、DNA塩基が約10億個入っていて、その情報量は20億ビットに相当し、その情報量は、アメリカ議会図書館に収められている全書物の情報量よりも多い。しかもDNAに収められている情報は、一個の細胞が持っている全情報のうちのごく一部に過ぎない。生命がいかに情報に満ちているかがよく分かる、とされる。

アリゾナ州立大学教授ポール・デイヴィス著「生物の中の悪魔」(SB Creative)によれば、コンピュータのコードは、1と0のみからなるバイナリー演算に基づいて書かれている。「バイナリーディジット」縮めて「ビット」が、情報を定量化するための標準的な方法となっている。ちなみに1バイトは8ビットで、1ギガバイトは10億バイト。情報処理速度はギガヘルツで表し、1ギガヘルツは1秒間に10億ビットを反転させることに相当する。あなたが公正なコイントスの結果を見ると、1ビットの情報が得られて、互いに確率の等しい二つの状態が一つの確実な状態に収束する。では、コインを二枚同時に投げたらどうなるだろうか?その結果を見ると、二単位(2ビット)の情報が得られる。コインを二枚投げたときに取り得る状態は四通りある。コインの枚数がN枚なら、Nビットの情報が得られ、取り得る状態の個数は、二のN乗だ。あなたの身体の中にある一個一個の細胞には、DNA塩基が約10億個入っていて、それらが四文字の生物学的アルファベットからなる特定の配列に並んでいる。取り得る組み合わせの個数は、四の10億乗になる。この20億ビットという情報量は、アメリカ議会図書館に収められている全書物の情報量よりも多い。しかもDNAに収められている情報は、一個の細胞が持っている全情報のうちのごく一部に過ぎない。生命がいかに情報に満ちているかがよく分かる、という。

生まれたばかりの乳児であろうと、認知症を発症した老人であろうと、ヒトは、その一個の細胞の中のDNAに20億ビットもの情報を保持している。それは確かに膨大な量の情報だ。しかし、そのすべてに何らかの意味があるわけでもない。コドンによるアミノ酸のコード表のことを思えば、意味ある情報はむしろ全体の中では少数派の方だということになるだろう。テレビでは責任ある立場の政治家が毎日のように登場して、コロナウィルスの感染拡大に、「緊張感をもって注視していきたい」とか、「厳しい状況は変わっていない」とか、語っているが、それらにもほとんど実質的な意味がない。敢えて普通の日本語に翻訳すれば、「私にはできることは何もありませんが、そのことに政治的責任を取るつもりはありません。何かやっているように見せなければならないとは思っているんです」、ということになるだろう。広島平和記念式典と長崎平和祈念式典での首相のあいさつにしても、二つの内容が酷似していると言われるのは当然で、そこに特別の意味を込めようとは首相自身が思っていないからだ。

テーマ : 文明・文化&思想
ジャンル : 学問・文化・芸術

先ず果たして

A_Rocky_Coast_convert_20200518125532.jpg
A Rocky Coast, William Trost Richards, The Metropolitan Museum of Art

岩肌はゴツゴツしていて、波は荒々しく、空は今にも雨が降り出しそうだ。画面を一瞥すれば、忽ちこれらの情報が入ってくる。しかし、情報の中には現実的に入手不可能なものもある。もし、エネルギーを消費せずに、気体の中の分子を、速く運動している分子と遅く運動している分子とに選り分けられるのであれば、その結果出来上がる温度勾配を利用して、永久運動を実現することができる。しかし、分子を選り分けるためには、一個一個の分子の速さと方向に関する「情報」を集めなければならない、とされる。

アリゾナ州立大学教授ポール・デイヴィス著「生物の中の悪魔」(SB Creative)によれば、気体の分子はあちこち飛び交っていて、気体が熱いほど分子は速く運動している。しかし、すべての分子が同じ速さで運動しているのではない。ある決まった温度の気体の中では、エネルギーは均等ではなくランダムに分配されていて、分子の中には他の分子よりも速く運動しているものがある。もし、いっさいエネルギーを消費せずに、何か巧妙な仕掛けを使って、速い分子と遅い分子を選り分けることができたとしたら、はたしてどうなるだろうか?そのように分子を選り分ければ、結果として温度差が生じ(速い分子がこちら側で、遅い分子があちら側というように)、熱機関を使えばその温度勾配を利用して仕事をすることができるはずだ。こうすれば、均一な温度の気体からスタートして、外部にいっさい変化をおよぼさずにその熱エネルギーの一部を仕事に変換することができ、いわば永久運動への道が開かれてしまうのだ。だが、速い分子と遅い分子を実際に選り分けるには、一個一個の分子の速さと運動方向に関する「情報」を集めなければならない、という。

世の中にも、自然界にもそんなにうまい話は転がっていない。仮にテクノロジーが進歩して、気体中の分子を意のままに操作できるようになったとしても、エネルギーを消費せずに、瞬間瞬間ごとに速い分子と遅い分子の情報を取得することはできないから、少なくとも今のところは、永久運動を実現することはできない。通常、何かを成し遂げるためには、何らかの情報が必要になる。コロナウィルス感染者でありながら、感染を確認されていない人々がどこの誰なのか、どこで誰から感染させられたのか、というようなこともそのような情報だ。それが分からなければ、彼らが感染を拡大し続けることになる。ワクチンも特効薬もまだない現時点では、感染拡大防止のためには、隔離されない感染者をできるだけゼロに近づけることしかできることはない。それにもかかわらず、徹底的で素早い、検体採取、検査実行、関係者のトレース等について、政府も地方自治体もはじめから真剣な努力をする気がないように見える。経済の停滞をできるだけ防ぎたいのは理解できるとしても、それは、国民の生命と健康を守るという使命を先ず果たしてからのはずだ。

テーマ : 文明・文化&思想
ジャンル : 学問・文化・芸術

プロフィール

仮想粒子

Author:仮想粒子
仮想粒子日記へようこそ。
徒然なるままに感じたところを文章に致しました。
お楽しみ頂ければ幸いです。

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
プロフィール

仮想粒子

Author:仮想粒子
仮想粒子日記へようこそ。
徒然なるままに感じたところを文章に致しました。
お楽しみ頂ければ幸いです。

カレンダー
09 | 2020/10 | 11
- - - - 1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30 31
リンク
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR