サーチイメージ作り

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Two Young Peasant Women, Camille Pissarro, The Metropolitan Museum of Art

どの時代でも、どの国でも、豊かであろうと貧しかろうとも、若い女性には話したいことがある。恋愛もその一つだ。恋愛結婚の場合、価値観、性格、肉体的特徴に至るまで、夫婦は平均的には互いに似ているらしい。

UCLA教授ジャレド・ダイアモンド原作、作家レベッカ・ステフォフ編著「若い読者のための第三のチンパンジー」(草思社)によれば、大半の夫や妻は、民族、宗教、政治的見解を共有している。さらに知能の点や、たとえば几帳面さなどの個人的な性格についても、夫婦はお互いにかなりの程度で一致する傾向がうかがえる。外観についても、平均すると夫婦のあいだでは、ごくわずかではあるが、統計的には十分有意と認められるほど、肉体的にもほぼいずれの点でも互いに似ている。身長、体重、目の色、髪の色、皮膚の色等の見た目にも明らかな特徴だけではなく、鼻の幅、耳たぶの長さや中指の長さ、目と目のあいだの距離や手首の太さ、肺活量等のあまりはっきりとしていない特徴も含まれる。将来のパートナーのサーチイメージ(=自分が理想とする人のイメージ)作りは、ヒトが誕生してから六歳というきわめて早い時期から始まっている。そして、そのイメージは自分が一番よく顔を合わせている異性の影響を強く受けている。私たちの多くにとって、それは母親か父親、兄弟や姉妹、あるいは仲のいい幼なじみというわけだ。しかし、配偶者の選択について、肉体的な特徴よりも、個性や知性、宗教といった要因がさらに強い影響を与えいていると、研究者はこれまで何度となく指摘してきた、という。

将来のパートナーのサーチイメージ作りが子供の頃からの両親や兄弟姉妹等の影響を受けるとするならば、理想のイメージは自分自身ともある程度は似たものになって来ざるを得ない。パートナーの価値観が自分のものとあまりにも違っていたら、日常生活で衝突が頻発するだろうから、そのような相手と結婚しようとは一般的には思わないだろう。これらのことから、恋愛結婚の場合、結婚相手は、同じか近い部族、あるいは同じ民族が一般的になり、別の部族あるいは別の民族は例外的になる、ということになる。後者の場合には、言葉、宗教、習慣、差別等の様々な障害が待ち受けることになりがちだから、よほどの強さと柔軟さがないと、うまくいかないと思われる。

テーマ : 文明・文化&思想
ジャンル : 学問・文化・芸術

白、青、ピンク

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Poppy Fields near Argenteuil, Claude Monet, The Metropolitan Museum of Art

花が好きだとすれば、それには恐らく子供の時の経験が関係している。カナダの研究者の実験で、大人になったハクガンが配偶者として好む色は、遺伝的に定められているのではなく、子供のときから共に暮らす親や兄弟姉妹等を通し学習するということが示された。

UCLA教授ジャレド・ダイアモンド原作、作家レベッカ・ステフォフ編著「若い読者のための第三のチンパンジー」(草思社)によれば、野生のハクガンには「白色型」と「青色型」と呼ばれる二色が存在している。孵化器の中で卵をかえすと、生まれたヒナは里親のもとに置かれた。これらのヒナが大きくなったとき、配偶者として好んだのが里親と同じ色のハクガンだった。しかし、白色型と青色型の両方が交じった群れで育ったヒナの場合、交配する相手に対して、とくにどの色が好みだという様子はまったく示さなかった。最後に何羽かのハクガンの親をピンクに染めた。自然界では存在しない色だが、この親のもとで成長したヒナが配偶者として好むようになったのがこの色だった。ハクガンは色の好みを遺伝として受け継いでいないことを実験は示していた。親や兄弟姉妹、遊び仲間を通し、その色が刷り込まれることで、ハクガンは幼少期に好みの色を学習していた、という。

この実験が示唆するのは、広く動物の場合、その配偶者に対する好みは幼少期に密接に接触する親、兄弟姉妹、遊び仲間から形成されるということだろう。さらには、ヒトの価値観もそのようにして形成されるということだろう。自分の人格は自分自身で形成してきたと思っていたとしても、実は、親や兄弟姉妹等の影響は免れがたいことになる。トランプ大統領の性格は、直しようのない悪ガキのようなものだ。意見の異なる相手には罵詈雑言を浴びせる。自分を正当化するため平気でうそをつく。あらゆることに自制心がない。大統領として最もふさわしくない性格の形成には、彼の両親等が大いに係わっていたと推測される。家族経営の不動産会社ならそれでも何とか回っていたのだろうが、世界を相手にする場合にはうまくいかない。相対する諸国家の代表は、彼の会社の部下とは違って、簡単には引き下がらない。世界の政治経済における米国の地位の後退は進行するしかないだろう。

テーマ : 文明・文化&思想
ジャンル : 学問・文化・芸術

「大躍進」

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Self-Portrait with a Straw Hat, Vincent van Gogh, The Metropolitan Museum of Art

画家が残した絵画は、稀に見る個性が彼にあったことを物語っている。6万年前に現生人類が残した各種の道具、芸術、遠距離交易の跡等は、それ以前と比べて「大躍進」とも呼ぶべき飛躍的な進歩であり、それは、そのころに初めて言葉が使われようになった間接的証拠と考えられる。

UCLA教授ジャレド・ダイアモンド原作、作家レベッカ・ステフォフ編著「若い読者のための第三のチンパンジー」(草思社)によれば、10万年前のアフリカに住んでいた集団(中期旧石器時代アフリカ人)は、現代人とよく似た体つきをしていたが、手にした石器はネアンデルタール人が使う石器とまったく同じだ。彼らは、弓矢や漁網、釣り針、芸術、発明の才はまだもちあわせていない。変化は突然に起こり、フランスとスペインにその証拠が鮮明に残されている。6万年前、この地域に現生人類(クロマニヨン人)が出現した。彼らは、針、釣り針、臼と杵、返しのついたモリ、弓矢など、用途に合わせ各種の道具を作っていた。遠距離の交易も行われていた。バルト海沿岸の琥珀は南ヨーロッパにまで到達していた。地中海産の貝殻はフランス、スペイン、ウクライナの内陸にまで運ばれていた。大躍進を引き起こした要因は、言葉だと考えられる。人類の声道に生じた何らかの変化が言葉を話す能力をもたらした。言葉が存在しなければ、人類の二人の祖先は狩りの段取りや道具の作り方など、アイデアを話し合うことはできなかった。また、一人であろうと、言葉がなければ、いい道具はどうやって作ればいいのかと考えをめぐらすことさえ難しかったはずだ、という。

ヒトは悠久の昔からずっと言葉を話してきたと考えるならば、そのことには何の根拠もない。むしろ、わずか6万年前頃に初めて言葉を獲得したとする主張の方に根拠がある。言葉は化石として残らないし、実験で言葉の発生時期を確かめることもできない。しかし長い停滞の後の突然の「大躍進」を言葉の発生の間接的証拠とすることは納得性が高いと思われる。恐らく700万年前には既に人類は、ライオンがいる!とか、ウサギがいる!とかいう意味の単語は発していたのであろう。しかし、6万年前頃に突然、主語・述語の備わった文を言葉で発することができるようになり、相互のコミュニケーションや単独での思考に格段の進歩を示すようになったという可能性は高い、と思われる。

テーマ : 文明・文化&思想
ジャンル : 学問・文化・芸術

ゴリラの後、ボノボの前

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Still Life, Paul Klee, The Metropolitan Museum of Art

形や色がダンスを踊る絵というのは、洞窟壁画から始まった人類の絵画の世界の最終到達点であろうか?高等霊長類の進化の系統樹上での分岐の順番は、早い方から、テナガザル、オランウータン、ゴリラ、ヒト、ボノボ、そして最後にコモンチンパンジーだ。ヒトが最後の到達点ではない。

UCLA教授ジャレド・ダイアモンド原作、作家レベッカ・ステフォフ編著「若い読者のための第三のチンパンジー」(草思社)によれば、高等霊長類の遺伝的距離を分子時計で測ると、コモンチンパンジーへと続く系統からテナガザルが分岐したのが2000万年前、オランウータンが分岐したのが1500万年前、ゴリラが分岐したのが1000万年前、ヒトが分岐したのが700万年前だ。DNAの構造において、ヒトは、ゴリラとは2.3パーセント、コモンチンパンジー及びボノボとは1.6パーセントの差がある。チンパンジーにとって、もっとも近縁の種とはゴリラなどではなく、遺伝的にには私たち人間なのである。ヒトとチンパンジーとを隔てる遺伝的な距離は、テナガザルとフクロテナガザルの距離(2.2パーセント)よりも長くはない。私たちヒトという動物はまさに第三のチンパンジーにほかならない。

一般的イメージとしては、進化の系統樹上で、「下等動物」が先に次々と分岐していって、最後に「最も高等」なヒトに到達するというものになる。しかし、実際には、ヒトの方が先に分岐して、次にボノボ、そして最後にコモンチンパンジーに至ったというのは意外だ。ヒトは、先に分岐しながら、その後何らかの大きな突然変異をしたケースということになるのだろう。それならば、たとえばテナガザルがそのような大きな突然変異をして、現在の地球の支配者になっていた可能性も大いにあることになる。ほかの類人猿も同様だ。ヒトが支配者になり、テナガザル等がならなかったのは、単なる偶然であったということになりそうだ。すると、「猿の惑星」という映画は、必ずしも全く根拠のないサイエンス・フィクションではないことになる。

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宇宙人の地球来襲はない

DT1564The Dancing Class, Edgar Degas
The Dancing Class, Edgar Degas, The Metropolitan Museum of Art

私たちはバレエを楽しめる、この宇宙で唯一の生物である幸運を喜ぶべきだろう。私たちの宇宙には、高い知能を持つ生命は地球以外には恐らく存在しない。今世紀は、この宇宙全体の未来の意義のある部分が決定される瞬間になる可能性がある、とされる。

マサチューセッツ工科大学教授マックス・テグマーク著「数学的な宇宙」(講談社)によれば、おそらくは、高い知能を持つ生命は地球から約10の21乗メートル以内(すなわち、私たちの銀河系またはその近傍)にはいない。この結論は次の仮定に基づいている。1.生命の宇宙進出は物理的に可能だ。しかも、人類と同程度に進んだ文明は、必要な技術開発のための期間が百万年もあれば、容易にこれを遂行できる。2.私たちの銀河系には生命が生存可能な惑星が何十億個とあり、その多くは、地球より数百万年どころか、数十億年も早く形成された。3.宇宙に出て他の惑星を植民地化できるようになった文明は、その無視できない割合が、実際にそうする。[しかし、彼らは地球に来てはいない。]以上だ。だから、私たちだけが、宇宙に散らばる壮麗な銀河を見ることができ、それらに意味を与えることができる。一瞬にすぎない私たちのこの世紀は、私たちの宇宙の歴史において、おそらく最も重要な瞬間(この宇宙の未来の意義のある部分が決定される瞬間)になる。私たちは恐らく、今世紀中に、宇宙に生命の種をまく技術か自滅を招く技術のどちらかを手にしているだろうからだ、という。

この部分は検証済みの科学的事実ではなく、推論だ。しかし、一つの合理的な推論ではあると思う。銀河系を越えて私たちの宇宙の外縁である10の26乗メートルまでとしても同様の結論であるらしい。そのずっと先の、別の個別並行宇宙には私たちと同じ人間がいると推定されているが、そこは光速で移動しても少なくとも何百億年もかかるところだから、お互いに連絡を取り合うこともできない。脅威を与えたり与えられたりすることもない。宇宙人が地球に来襲したときに、アメリカ・ファーストなどと寝ぼけたことを言っているリーダーがいたら、その国をまず最初にして、地球の人類は滅びてしまう可能性が高いが、宇宙人の来襲というサイエンス・フィクションが現実化することはなさそうだ。

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