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欠けていたのは

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Artistic Comedy, Paul Klee, The Art Institute of Chicago

これがもし上空から見た農地の姿であったなら、都市化の進行とともに形がどんどん変わっていくことだろう。シャーレに入れたニューロンにBDNF(脳由来神経栄養因子)をふりかければ、ニューロンは新しい枝を伸ばし、学習に必要な成長を遂げる。BDNFは、細胞内では遺伝子を活性化させ、BDNFやセロトニン、そしてシナプスの材料となるタンパク質をもっと作るよう指示を出させる。つまり道路工事と交通整理の両方の仕事をしているのだ、とされる。

ハーバード大学医学部臨床精神医学准教授ジョン・J・レイティ with サイエンス・エディター エリック・ヘイガーマン著「脳を鍛えるには運動しかない」(NHK出版)によれば、神経伝達物質が信号を伝えるのに対して、BDNF(脳由来神経栄養因子)のような神経栄養因子は、ニューロンの回路、つまり脳のインフラを構築し、維持している。なにかを学習するには、長期増強(LTP)と呼ばれる動的なメカニズムによってニューロンのつながりを強化することが欠かせない。まず軸索に蓄積されているグルタミン酸がシナプスを通じてつぎのニューロンに送られ、受容体の構造を変える。すると、受容部位の電位が上昇し、グルタミン酸を磁石のように引き寄せるようになる。グルタミン酸の信号がさらに送られ続けると、そのニューロンの細胞核のなかにある遺伝子のスイッチが入り、シナプスの材料となる物質がもっと作られるようになる。こうして土台が強化され、新しい情報が記憶として定着していく。こうしたシナプス可塑性と呼ばれるメカニズムにおいて、中心的役割を果たすのがBDNFなのだ。シャーレに入れたニューロンにBDNFをふりかければ、ニューロンは新しい枝を伸ばし、学習に必要な成長を遂げることが発見されている。BDNFはまた、シナプスの受容体に結びつき、イオンを放出して、受容体部位の電位を上げ、信号を即座に強くする。細胞内では遺伝子を活性化させ、BDNFやセロトニン、そしてシナプスの材料となるタンパク質をもっと作るよう指示を出させる。つまり、交通整理と道路工事の両方の仕事をしているのだ。

BDNF(脳由来神経栄養因子)は、ニューロンをして新しい枝を伸ばさせ、ニューロンどうしのつながりを増やして学習に必要な成長を遂げさせる。これは道路工事のようなものだ。同時に、ニューロン内の遺伝子を活性化させ、BDNF自身やシナプス等の材料となるタンパク質をもっと作るように指示を出させる。こちらは交通整理のようなものだ。学校等での勉強に限らず、音楽であれ、スポーツであれ、何であれ新たなことを学習するためには、十分な量のBDNFが絶対的に欠かせないということだ。それは、地域の発展のために公共事業で新しい道路を作らせるようなものだ。それまで互いに孤立していた町と町とを結びつける新たな道路を作らせ、必要であれば道路の車線を増やし、橋を架けさせ、トンネルを穿たせて、その地域全体の経済的、社会的、文化的な、さまざまな交流を活性化させ、一段高いコミュニティーを作り上げるのと似ている。今日12月8日は1941年に日本軍が真珠湾奇襲攻撃を行った日だ。その後、日本の国民にも史上最悪の大惨禍をもたらすことになる。当時の日本の指導者たちに欠けていたのは、BDNF(脳由来神経栄養因子)だったのかもしれない?

テーマ : 文明・文化&思想
ジャンル : 学問・文化・芸術

無駄遣い

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An Angel Brings What Is Desired, Paul Klee, The Art Institute of Chicago

例えば天使を思い浮かべているときにも脳内には信号が流れている。脳内の信号送信の約80パーセントを担うのは二種の神経伝達物質、グルタミン酸とガンマアミノ酪酸(GABA)だ。グルタミン酸は信号の連鎖的反応を始動させる。ともに発火するニューロンは、ともにつながるので、グルタミン酸は学習する上で重要だ。一方、脳の信号操作とすべての活動を調整しているのは、セロトニン、ノルアドレナリン、ドーパミン等の神経伝達物質だ、とされる。

ハーバード大学医学部臨床精神医学准教授ジョン・J・レイティ with サイエンス・エディター エリック・ヘイガーマン著「脳を鍛えるには運動しかない」(NHK出版)によれば、脳内の信号送信の約80パーセントを担うのは二種の神経伝達物質、グルタミン酸とガンマアミノ酪酸(GABA)で、それらは互いにバランスをとりあっている。グルタミン酸はニューロンの活動を活発にして信号の連鎖的反応を始動させ、GABAはその活動を抑える働きをする。ともに発火するニューロンは、ともにつながる。信号の往来が頻繁になればなるほど、ニューロンどうしの連絡し合う力は強くなり、「結合」が生まれる。なので、グルタミン酸は学習するうえで重要な要素と言える。一方、脳の信号操作とすべての活動を調整しているのは、セロトニン、ノルアドレナリン、ドーパミン等の神経伝達物質だ。これらは、ニューロンに命じてもっとグルタミン酸を作らせたり、ニューロンがより効率的に情報伝達できるようにしたり、受容体の感度を変えたりする。また、余計な信号がシナプスに伝わらないようにして脳内の「雑音」を小さくしたり、逆にほかの信号を増幅したりもする。これらの第一の役割は、情報の流れを調節して、神経化学物質全体のバランスを調整することだ。

グルタミン酸は、昆布のうまみの主成分でもある。ガンマアミノ酪酸は、リンゴの果肉や茶の葉にも含まれる。脳内の信号送信の約80パーセントをグルタミン酸とガンマアミノ酪酸が担っている。信号の往来が頻繁になればなるほど、ニューロン同士の結合が生まれるので、連鎖的反応を始動させるグルタミン酸は学習するうえで重要な要素だ。しかし、昆布をたくさん食べれば、ニューロン同士の結合が自動的に増加するというわけでは当然ない。まず学習の実行が必要な状況があり、そのために脳内の信号の往来が頻繁になってニューロン同士の結合が増加するあるいは強化される必要があり、そのために組織の変化が起こる必要があり、それを実際に稼働させるためにより多くのグルタミン酸が必要になってくるという順番だ。同様に、北朝鮮からのミサイルのすべてを迎撃することは困難であることが明らかになる中で、核やミサイルの脅威の拡大に対処しなければならないとしても、単に日本の防衛予算の金額を全体として増額するだけでは目的は達成できない。相手の、総合的攻撃能力、政治的・軍事的・社会的な状況、政権の意図等の現状と将来の予測を出来るだけ正確に把握し、それに対してどのような装備とどのような防衛体制を国内的にそして国際的に採るのが、国民を守るという点で最も効果的なのかをよく検討した上で予算を決定しなければならない。そうでなければ、子供や孫たちに大きな負担を強いた上で無駄遣いをしたことになってしまうだろう。

テーマ : 文明・文化&思想
ジャンル : 学問・文化・芸術

説明

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Afternoon Tea Party, Mary Cassatt, The Art Institute of Chicago

人生には時にお茶を楽しむくらいの余裕が必要だ。しかし、つい、子供の学業成績のことが頭に浮かんできてしまうこともある。いくつかの研究で、健康と学業成績の間の相関関係が確認されている。特に、肥満度指数(BMI)と有酸素運動能力が学業成績に関係しているらしい、とされる。

ハーバード大学医学部臨床精神医学准教授ジョン・J・レイティ with サイエンス・エディター エリック・ヘイガーマン著「脳を鍛えるには運動しかない」(NHK出版)によれば、カリフォルニア州教育局(CDE)の研究結果は、健康状態のよい生徒は試験の成績もよいということを一貫して示している。100万人以上の生徒の標準的な学力検査の点数とフィットネスグラムの得点が相関することが分かった。フィットネスグラムとは国が定めた身体能力の評価方法で、有酸素運動能力、体脂肪率、腹筋の強さと持久力、体幹の筋力と柔軟度、上半身の強さ、全身の柔軟性の6項目を測定する。生徒はそれぞれの項目で最低基準をクリアすれば、1点獲得できるので、フィットネスグラムの最高点は6点だ。このテストは、生徒がどれほど健康であるかを測定するものではなく、各項目で最低基準を満たしているかどうかを判定するものだ。精神生理学者チャールズ・ヒルマンは、3年生と5年生、216人を対象として、CDE調査に準じた独自の調査を行い、やはり健康と学業のあいだに相関関係があることを確認した。フィットネスグラムの6つの項目のうち、とくに2つが学業成績に大きく影響するらしいのだ。「私たちの回帰方程式では、BMIと有酸素運動能力が突出していました」と、言う。「この2つが成績を向上させる最も重要な誘因に違いありません。あまりにはっきりしていたので本当に驚きました」。よい健康状態をもたらしてくれるのが運動だ、という。

BMIと有酸素運動能力が優れていれば、何の勉強もしなくても誰もが必ず自動的に学業成績も素晴らしいものとなるということでは勿論ない。身体能力を生かして、実際に比較的長時間の運動をすると、体と脳に生物学的な変化が生じ、それが、例えば記憶力が強化される等して、より効果的でより効率的な学習を可能にするということだ。学業成績の優れた生徒は、そうした可能性を実際にうまく活かしているということになる、そもそも、ウォーキング、ジョッギング、エアロビクス等何らかの運動をしていなかったら、BMIと有酸素運動能力が優れた状態にはなっていない。だから、そういう生徒は、普段から適切な運動をして、併せて効果的な学習もしているということだろう。一方で、太り過ぎの生徒は、自らすすんでハンディキャップを負っているということになる。彼らが、スリムな生徒と同じ学業成績を達成したなら、ヤングケアラーや外国からの留学生の場合のように、その特別の努力や工夫を誉めてあげるべきなのかもしれないが、その前に、BMI、有酸素運動能力と学業成績との間の統計的関係性を、分かりやすく説明してあげるべきだろう。

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急がば回れ

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After the Bath, Mary Cassatt, The Art Institute of Chicago

子供にはほとんど無限の可能性がある。しかし、放っておいただけではその最高の可能性が実現されるとも思えない。親であれば誰でも、子供をどう育てたらよいかを考える。参考までに、運動と脳の能力とは無関係ではない。近年の研究によって、運動が刺激となって、脳は学習の準備をし、意欲を持ち、その能力を高めることが分かってきた、とされる。

ハーバード大学医学部臨床精神医学准教授ジョン・J・レイティ with サイエンス・エディター エリック・ヘイガーマン著「脳を鍛えるには運動しかない」(NHK出版)によれば、シカゴのネーパーヴィル・セントラル高校では一連の教育実験における最新の取り組みとして、「0時限体育」が行われている。その名称は1時限目の前に組み入れられたことによる。近年の研究によって、運動が生物学的変化を引き起こし、脳のニューロンを結びつけることが分かった。脳が学習するには、そうした結びつきが作られなければならない。運動がなによりの刺激となって、脳は学習の準備をし、意欲を持ち、その能力を高めることが分かってきた。「0時限」に参加する生徒たちは、読解力が標準以下だったために読み書きの授業が必修となった新入生のなかから志願してきた生徒たちで、彼らは最大心拍数の80から90パーセントの間で運動するよう指示されている。学期の最後に、読み書きの授業を選択した生徒のリーディング力と理解力をテストしたところ、朝寝坊をして普通の体育にしか出なかった生徒たちの成績は10.7パーセントの向上にとどまったが、「0時限」の授業に出た生徒たちは17パーセントもの伸びを見せた。

日本の学校でも、運動能力は優れているが、勉強は苦手だという生徒は珍しくない。反対に、運動は苦手だが、勉強は得意だという生徒もいる。それらは単純に能力の問題でもなく、人生への姿勢の問題あるいは人生の事情の問題だという面もある。その上で、シカゴの高校で「0時限体育」の授業を受けた生徒の、読み書きの成績が著しく改善したという実績が示すのは、運動と学習能力とが決して相反するものでも、無関係でもなく、持って生まれた運動能力に関わらず、適切な運動をすると、それが刺激となって、体と脳に生物学的変化が生じ、脳は学習の準備をし、意欲を持ち、知的能力を効率的に高めるようになる可能性がある、ということだ。勉強の効果を上げるためには、先ずは適切な運動からだ。急がば回れのようなものだ。

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近い

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Wood Tankard and Metal Pitcher, Paul Gauguin, The Art Institute of Chicago

水差しもビールジョッキも、ヒトの意志で人工的に作られたものだ。意志を持つ存在は、高度に組織化された構造のおかげで、内面の感情から外に向けた行動まで、外界の刺激に対して多彩な応答をすることができる。そんな応答は、少なくともこれまでのところは、生命や心を持たない粒子の集まりにはできない、とされる。

コロンビア大学教授ブライアン・グリーン著「時間の終わりまで」(講談社)によれば、自意識を持つ存在の意志は、物理法則の命じる展開を回避する、従来言われてきたような自由意志ではないが、意志を持つ存在は、高度に組織化された構造のおかげで、内面の感情から外に向けた行動まで、外界の刺激に対して多彩な応答をすることができる。そんな応答は、少なくともこれまでのところは、生命や心を持たない粒子の集まりにはできない。宇宙は、生命と心に活躍の場を提供するために存在しているのではない。生命と心が、宇宙にたまたま生じただけなのだ。そして、生命と心は、つかの間存在して消えていくだろう。そうだとしても、われわれがこの宇宙に存在するひとときを、科学的な文脈においてみるなら、われわれの存在自体が驚くべきことだとわかるだろう。宇宙にも、DNAの塩基配列にも、天文学的に多くの可能性があるにもかかわらず、あなたの塩基配列と私の塩基配列、あなたの分子の組み合わせと私の分子の組み合わせが、こうして実現している。われわれが今ここに存在する確率は、信じられないほど低い。そんなあり得ない偶然が、現にこうして起こっていることは、ゾクゾクするほどすごいことなのだ、という。

普通であればあり得ない偶然の奇跡のようなことが実際にこの地球上で起こっているとしても、小宇宙が無限個あるとするならば、どこかの小宇宙の中で、生命と心が発生することは決してあり得ないことではない。生命と心は、外界の刺激に対して多彩な、多くの場合は合理的な、応答をする仕組みだから、そのようなものが一旦発生したなら、どういう動物であれ、その他であれ、それが継続する可能性は、そうでない場合よりもはるかに高いといえるだろう。たとえそれが、宇宙的時間スケールではつかの間の存在でしかないとしても、別の生命と心とが大宇宙に存在するいくつかの小宇宙で繰り返し発生する可能性は否定されない。お互いに連絡し合うことは不可能だとしても、時間と空間を隔ててそれぞれが互いの存在を想像し合うことはあるかもしれない。その距離は、ゼレンスキーとプーチンとの間よりも近いのかもしれない。

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